漬け込み肉のメリットやデメリットは?
BBQで大活躍する漬け込み肉、焼く前の一手間はありますが漬けることによるメリットがいっぱい! しかしデメリットも忘れてはいけません。どちらも把握しておけば状況によって最適なレシピの選択ができます。
お肉を漬けるのにおすすめの材料
漬け込み肉に使用する材料次第ではお肉が美味しくなるだけでなく、柔らかくなったり保存期間を長くしてくれるなど副次的な効果をもたらしてくれる組み合わせがあります。
発酵食品漬けで保村期間を延ばす
塩麹、味噌、醤油麹などの発酵食品には塩分が多く含まれるため、漬けておくことで食材の保存期間を延ばしてくれるだけでなく酵素の分解作用により食材をおいしくしてくれます。ヨーグルトなども同様に使用することができます。冷凍しない場合は2〜30分を目安に漬け込みましょう。
塩と砂糖は魔法の漬け込み水になる
塩と砂糖を5%の濃度で水に溶かしたものを『ブライン液』といいます。このブライン液は脂の少ないお肉を柔らかくジューシーにし、塩味と甘味を浸透させることのできる優れた漬け込み液です。一口サイズの肉は4時間程度が漬け込みの限度と覚えておきましょう。また燻製調理には濃度を10〜30%にした『ソミュール液』を使用することで食材から水分を満遍なく出し、燻製させやすくすることができます。
酒類は牛肉を覚醒させる
牛肉は筋繊維が多く、焼くほどに水分が失われ筋繊維が縮み固く弾力のある肉になっていきます。そんな牛肉を酒類につけておくことで、筋繊維を広げて水分の含有量を増やし、アルコールの沸点の低さが作用して肉を素早く焼き上げることで肉から水分の流出を保持してジューシーに仕上げます。味を染みやすくさせることから調理酒が出ているように、酒は漬け込みの必需品と言っても過言ではありません。
マリネ液で高級肉レベルへ引き上げる
BBQにはつい奮発して高いお肉を買って行こうと思いがちですが、事前の漬け込みで安い肉でもしっとりとした高級肉さながらの食感を作り出すことができます。酢やマリネ液に含まれる酸味が肉の繊維を柔らかくし、味を染み込みやすくします。漬け込みの目安は12時間程度とやや長めですが、前日準備だけで変わるならやってみて損はありません。
蜂蜜は豚肉を最上級の食材にする
安い豚肉に蜂蜜を塗って30分ほどしてから味付けをして焼いてみましょう。蜂蜜の糖分が染み込むことで、筋繊維が縮んで固くなってしまうはずの豚肉がまるでブランド豚のようなジューシーな食感になります。
コーラは飲むだけじゃない
コーラにはマリネや蜂蜜と同じ作用があります。より安く肉の食感を向上させたい方におすすめです。ただ、マリネ液のような食酢と比較すると食感への影響よりは、焼いた時の糖分のカラメル化で美味しくなるというイメージで使用する方が効果が期待できます。
生のフルーツが肉を激変させる
キウイやパイナップル、りんごなどのフルーツには肉を柔らかくする酵素が含まれています。生でも食べられるフルーツたちなので少し勿体無い気もしますが、良い肉の食感を求める方にはおすすめです。よく潰したフルーツの中に冷蔵庫で1時間ほど肉を漬け込みましょう。酵素は常温の方が早く作用しますが夏場などは常温保存で傷む可能性もあるため気をつけましょう。
漬け込み肉を使ったバーベキューレシピ
それではここまで紹介してきた漬け込み術を活かして、バーベキューで役立つ漬け込み肉のレシピを紹介します。
焼肉のタレ漬けはカルビは簡単で最強
焼いてから浸して食べる焼肉のタレは、塩分糖分、発酵素材やフルーツなど肉の熟成に作用する多くの材料が含まれています。そのため事前の漬け込みに最も最適な材料なのです。凝った漬け込み液にチャレンジする前に、まずは焼肉のタレで漬け込み肉の素晴らしさを実感してみましょう。
生姜焼きはシーンを選ばない漬け込みの優等生
安い豚肉をたくさん使用してお腹いっぱいにするなら生姜焼きが最適です。シンプルに生姜醤油とみりんで漬ければ柔らかくて香ばしい生姜焼きができますが、蜂蜜を塗ることで肉のパサつきがなくなりマイルドな味をプラスできます。
BBQの王道であり王様『スペアリブ』
BBQといえば大きなグリルで骨つきのスペアリブを豪快に焼くシーンを思い浮かべる人も多いはず。そんなスペアリブも漬け込みの王道レシピです。生肉のまま売られているものも多いですが、漬け込むことで肉が骨から剥がれやすくなり食べやすいです。
チキンステーキを芳醇でジューシーに
鶏肉はBBQのお肉におすすめですが、焼き上がりに時間がかかるので敬遠する人もいます。そんな時は漬け込み肉にしていくことで焼き時間の短縮にもなります。また、肉のパサつきも抑えられて良いこと尽くしです。
安い肉も麹パワーで高級食感に
麹に漬け込むことでスジが多い安いお肉も、固くならずにジューシーに焼き上げることができます。漬け込んだ麹もかけダレとして使用することができて無駄のない漬け込みレシピです。
家庭でおすすめの漬け込み肉の活用方法
漬け込み肉はBBQはもちろんですが、むしろ家庭で役立つことの方が多い料理です。では具体的にどのようなシーンで漬け込み肉が役立つのか紹介していきます。
お弁当のおかずに最適
焼きたての漬け込み肉は柔らかくて美味しいですが、しっかりと味が染み込んだ漬け込み肉は冷めても美味しいので、お弁当にも最適です。前日の夕飯の残りを入れるもよし、漬け込みにより熱の入りが早くなった漬け込み肉をさっと焼き上げるもよし!
肉は事前に切っておくのが吉
漬け込み肉は塊のまま漬け込んでも味の染み込みや筋繊維への影響に有効です。でも漬け込んで液のついた肉を焼く前に切ると手が汚れてしまうので、あらかじめ一口サイズに切ってから漬け込むのがおすすめです。小さく切ることで漬け込み時間の短縮や包丁を洗う手間を省くことにもつながります。
肉は繊維に対して垂直方向に切ることや、ミートハンマーで叩く、肉の筋に対して切れ目を入れる(筋切り)をすることで肉の反り返りを防止することができます。フォークで穴を開けておくのも味の染み込みや、肉の硬化を防ぐのに有効です。
漬け込み肉の美味しさを決めているのはココ!
単に漬け込み肉と言っても、漬け込む材料や時間によって出来上がる料理は千差万別です。そこで、どのような条件が『美味しい漬け込み肉』と言えるのかを紹介します。
①肉の食感
市販されている肉の多くが保水性が低い状態で売られており、陳列されているタッパーに肉汁(ドリップ)が滲み出ているほど。この状態のお肉を加熱すると、水分や旨味のもとである肉汁が流れ出てしまい、固く、美味しくなくなっていきます。旨味を逃さず、柔らかくジューシーに焼き上げるためにも、焼肉のタレなどの漬け込み液に付けて保存しておきましょう。
②肉と漬け込み液の旨味
当たり前のことですが、肉本来の味や漬け込みに使用する液の味は重要です。肉の旨味成分とされるイノシン酸はアミノ酸と合わさることで旨味を強く感じさせる効果があるとされています。特にアミノ酸の中でもグルタミン酸が有効であるため、お肉を醤油や麹など発酵食材と掛け合わせることが合理的な旨味の作り方なのです。
③料理の見た目と香り
お肉を焼いたときに蒸発されるタレの香りや、肉汁が焼けてきた時の香りは食欲を増進させます。これはアミノ酸と糖が熱により『メイラード反応』という状態を起こしているもの。ジャム、あんかけ、照り焼きなども同様の反応によるものです。
また糖が加熱されて褐色になり固まり始める状態を『カラメル反応』と言います。このカラメル反応により食材がコーティングされて凝縮された独特の甘味がプラスされるほか、肉の旨味の流出を防いでくれる効果があります。一方でカラメル反応が過剰に起こると焦げて苦味の増加につながります。
漬け込み肉の保存方法を知っておこう
さまざまな漬け込み肉はそれぞれ保存の方法により、効果を増進・半減させたり、停止させることができます。最適な保存方法を知っておきましょう。
肉によって保存期間が違う
これは漬け込み以前の知識ですが、販売されているお肉は基本的に牛肉、豚肉、鶏肉の順に消費期限が長いのですが長くても最大3日程度で表記されています。買い溜めしても3日では使いきれない! そこで有効なのが冷凍保存です。冷凍保存は買ってきたタッパーのまま保存するのではなく、肉の余分な水気を拭き取り、ラップや保存袋で空気が触れないようにして冷凍しましょう。解凍は流水での解凍がドリップの流出を最も抑えられます。
麹、味噌を塗って保存期間延長
先述しましたが、発酵食品は酵素やプロテアーゼがお肉のタンパク質を分解して柔らかくするだけでなく食品の冷蔵保存期間を延ばしてくれる効果があります。ただ長期保存する場合は冷蔵だと塩味が浸透し過ぎてしまったり酸化や発酵により食材をダメにしてしまいます。冷凍保存をすることで酸化、発酵、味の浸透は止まり、3〜4週間ほどの長期保存が可能です。
漬け込み肉で最高のバーベキューを楽しもう!
単に買ったお肉を焼くだけのバーベキューも手軽で良いですが、ひと手間を加えた漬け込み肉は食べた時の幸福感を増してくれます。食材に合わせた最適な漬け込み術を覚えて、みんなで楽しいバーベキュータイムを過ごしましょう!