ダッチオーブンとは?
ダッチオーブンとは、分厚い金属で作られた蓋付きの鍋で、一般的な鍋のように下から熱して使うだけでなく、蓋の上に炭を乗せてオーブンのように食材を加熱できるのが特徴です。
煮る、焼く、炒める、蒸す、揚げる、燻す……などさまざまな料理に対応でき、キャンプやバーベキューなどのアウトドアから家庭のキッチンまで、幅広いシーンで使われます。
ダッチオーブンの使い方は?
ダッチオーブンは、前述のとおり多様な調理に対応可能。パンやピザを焼いたり、ローストビーフやローストチキンを作ったり、カレーやシチューを煮込んだり、ご飯を炊いたりと、使い方のバリエーションは豊富です。
一般的にキャンプ料理向けの鍋というイメージがあるかもしれませんが、ガスコンロやIHなどの熱源に対応した製品もあり、家庭でも使用することができます。
ダッチオーブンの選び方
あらゆる料理に対応できる万能鍋のダッチオーブンは、サイズや素材などの種類がたくさんあり、どれを購入したらよいか迷っている方もいるかもしれません。
ここからは、ダッチオーブンの選び方をご紹介していきます。以下のようなポイントをチェックすることで、用途に合ったダッチオーブンを見つけることができますよ!
1. キャンプで使うのか家で使うのかを考慮しよう
ダッチオーブンを選ぶとき、まずはキャンプで使用するか、自宅で使用するかなど主な用途を考慮しておくのがポイントです。
キャンプ用なら脚付きの焚き火対応モデルが便利
キャンプ用がメインなら、焚き火で使用できるよう、ダッチオーブンに脚が付いたモデルがおすすめです。
脚付きタイプを選ぶことで凹凸のある場所でも安定して置くことができ、調理中にうっかり倒してしまうリスクを減らし、安心して使用することができます。
また、製品によっては炭火や薪火の上に直接置いてワイルドに焚き火調理が楽しめたり、2段重ねにできたりと、アウトドアでの使い方の幅が広がるので、便利にダッチオーブン調理を楽しむことができるでしょう。
家用ならIH対応モデルが使いやすい
ダッチオーブンを家で使う予定なら、脚がなく底が平らなガスコンロ・IH対応モデルが使いやすいでしょう。
自宅の庭でツーバーナーやバーベキューコンロを使用する場合でも、焼き網に乗せて使うことができて便利です。
ただし、ダッチオーブンの種類によってはIHに対応していないモデルもあるので、家用のものを選ぶ際は自宅で使う熱源に対応したダッチオーブンを選ぶようにしましょう。
2. 素材に注目しよう
ダッチオーブンには「鋳鉄(ちゅうてつ)」「黒皮鉄板」「ステンレス」などさまざまな素材の種類があり、用途に合った特徴を持つ素材を選ぶのがポイントです。
「鋳鉄」は経年変化が楽しめる
王道といえる鋳鉄製のダッチオーブンは、比較的安い価格で購入しやすいのが特徴。使い込むほど重厚な雰囲気が増し、経年変化が楽しめるのも人気の理由で、黒光りする「ブラックポット」に育てていくのが醍醐味のひとつです。
その反面、重くて錆びやすいのはデメリット。使い始める前にシーズニング(油ならし)を行う必要があるなど、お手入れやメンテナンスには少々手間がかかりますが、長く愛着をもって使用できるダッチオーブンをお探しの方におすすめです。
また、シーズニングが不要なタイプや、ダクタイル鋳鉄を採用した薄くて軽いタイプもあるので、用途に合わせて検討してみましょう。
「黒皮鉄板」はお手入れが簡単
黒皮鉄板は、「黒皮」といわれる酸化皮膜が表面を保護しているため、中性洗剤で洗うことができます。焦げ付いた部分を金タワシでこすっても膜は簡単に剥がれないので、鋳鉄製に比べてお手入れが簡単です。
黒皮は赤サビを防止する役目も果たしますが、完全にサビを防ぐわけではないため、使用後のメンテナンスは忘れないようにしましょう。
衝撃を受けても割れにくい、「ヒートショック」といわれる急激な温度変化に強いといったメリットもあり、初めてダッチオーブンを購入する方にもおすすめです。
「ステンレス」はシーズニング不要
ステンレスは、錆びにくくシーズニング不要というのが大きな特徴。購入後にすぐ使用することができ、面倒なお手入れも必要なく扱いやすいのがメリットです。
傷や汚れは少々目立ちやすく、経年変化による味わいを楽しむなら鋳鉄や黒皮鉄板にはかないませんが、ずっしりとした重量感がなく持ち運びやすいのもうれしいポイントといえます。
また、IHや電気プレートなどさまざまな熱源に対応したモデルが多いので、一般的な鍋と同じように便利に使用することができるでしょう。
3. サイズは使用人数や料理に合わせて選ぼう
ダッチオーブンは、製品によってサイズもまちまちです。そのため、使用人数に合わせて大きさを選ぶのがポイントになります。
ダッチオーブンは、「8インチ」「10インチ」「12インチ」ほどのサイズが主流。小さめの6インチや、14インチ以上の製品もありますが、10インチが最もポピュラーなサイズで人気が高く、さまざまな料理に対応しやすいでしょう。
サイズ | 直径 | 使用人数 |
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8インチ | 約20cm | ソロ・デュオ |
10インチ | 約25cm | ファミリー |
12インチ | 約30cm | 大人数 |
1〜2人での使用なら8インチ(直径約20cm)前後を、4〜5人での使用なら10インチ(直径約25cm)前後、それ以上での使用なら12インチ(直径約30cm)を目安に選びましょう。
ただし、上記の人数はあくまでも目安であり、どんな料理をしたいかによっても適切なサイズは変わります。たとえば、丸鶏焼きに使用するなら12インチの大きなサイズがおすすめです。
また、サイズが大きくなるほどたくさんの料理が作れて便利ですが、ダッチオーブンの重量も重くなるので、持ち運びやすさも考慮してサイズを選ぶようにしましょう。
ダッチオーブンのおすすめ
ここからは、ダッチオーブンのおすすめを以下の素材別にご紹介していきます。選び方のポイントを踏まえたうえで、用途に合ったダッチオーブンを見つけてみてくださいね!
鋳鉄
家具やインテリア用品を取り扱う「ニトリ」から発売されている焼付塗装を施した鋳鉄製ダッチオーブン。キッチン鍋のようなシンプルなデザインが特徴的です。内寸18cmのコンパクトサイズで、直火やIH・オーブンでの調理が可能なのでキャンプや自宅で使用することができます。
ロゴス SLダッチオーブン10inch・ディープ(バッグ付き)
サイズ | 28.5×25.5×15.5cm |
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重さ | 5.5kg |
素材 | 鋳鉄,ポリエステル |
直火はもちろん家庭用ガスコンロやIHに対応しているのでさまざまシーンで調理することが可能。持ち運びに便利な専用キャリーケースが付属しています。
スノーピーク 和鉄ダッチオーブン 26
サイズ | リッド:31.6×26.8×5.6cm/スキレット:31.6×26.8×5.9cm/ポット:φ26.8×12cm(ツル含まず) |
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重さ | 7.9kg |
素材 | 本体:ダクタイル鋳鉄(シリコン耐熱塗装)/ツル:ステンレス |
直径26cm(10インチ相当)のファミリーサイズでIHにも対応。リッドとスキレット・ポットの組み合わせ次第でさまざまな調理に挑戦することができます。
ブービーバードでお馴染みのチャムスから発売されている10インチダッチオーブン。IHに対応しており、自宅のキッチンでも使用可能な脚なしタイプです。上蓋にあるチャムスのロゴマークと足跡のかわいいデザインが特徴的。ベジタブルオイルコーティングを施しているのでシーズニング不要で使用できます。
重厚な質感でベテランからビギナーまで幅広く人気が高いアメリカ発ロッジ製ダッチオーブン。5mm厚で蓄熱性が高く、焼く・煮る・蒸す・炒めるなどすべての調理を可能にします。脚付きなので炭や薪でワイルドに調理することが可能。シーズニングが施されているためすぐに使用することができます。
キャプテンスタッグ ダッチオーブン 14cm
サイズ | 18×14.5×10cm |
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重さ | 1.5kg |
素材 | 本体,ふた:鉄鋳物/つる:ステンレス鋼 |
重量1.5kgと非常に軽く、手軽に持ち出して使用することができます。
ファミリーに最適なコールマンの10インチダッチオーブン。植物性オイル仕上げが施されているので面倒なシーズニング要らずですぐに使用することができます。脚なしタイプなので自宅のキッチンでも調理が可能。リッドリフターや収納ケースが付属しているのもうれしいポイントです。
高品質なキャストアイアン(鋳鉄)製で熱をじっくり伝えることができるペトロマックスの20cmダッチオーブン。ソロからデュオでの使用に最適なコンパクトサイズです。デザイン性に優れているのでダッチオーブン料理がより一層楽しくなるでしょう。
黒皮鉄板
ユニフレーム UFダッチオーブン10インチ
サイズ | 約φ26×11cm |
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重さ | 約5.8kg |
素材 | 本体,フタ:黒皮鉄板4.5mm厚を加工・クリアラッカー焼付塗装/ツル:ステンレス鋼 |
脚なしタイプのため家庭用のガスコンロやIHでも使用することが可能。家族でダッチオーブン料理が楽しめる10インチサイズです。
ステンレス
面倒な手入れ要らずで手軽に使えるSOTO(ソト)のステンレス製ダッチオーブン。シーズニング不要で錆の心配も必要なく、使ったあとは家庭用洗剤でガシガシ洗うことができます。鋳鉄製に比べて衝撃や温度変化に強いためタフに使用することが可能。ガスコンロやIH・電気プレートなどさまざまな熱源に対応します。
ベルモント ステンレスダッチオーブン8インチ
サイズ | 鍋:約φ20.4×9.cm/フタ:約φ21.1×3.6cm/リフター:全長約18cm/底網約φ19×1cm |
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重さ | 約2.52kg |
素材 | 本体,底網:ステンレス/リフター:アルミニウム |
スキレットとして使用できる蓋は裏返すことでコンパクトに収納可能。6〜8人前のカレーが作れる8インチサイズで、直火やIHに対応可能です。
TSBBQ ライトステンレス ダッチオーブン 6インチ
サイズ | 14.8×21.8×10cm |
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重さ | 750g |
素材 | ステンレス鋼, 金属 |
シーズニング不要でサビにくく、汚れが落ちやすいのが特徴。ソロキャンプやバーベキューでの一品料理作りに最適な6インチサイズです。
その他
テンマクデザイン アルミダッチオーブン 6インチ
価格 | 4,378円(税込) |
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サイズ | 15.85×13.2cm |
重さ | 740g |
素材 | ステンレス鋼, 金属 |
アウトドアショップ「WILD−1」のオリジナルブランド「テンマクデザイン」から発売されているアルミ製ダッチオーブン。6インチサイズで重量740gと非常に軽く、コンパクトなコンロにピッタリなソロ仕様です。
別売りの底網を使用すればパンを焼くことが可能。軽いソロ用ダッチオーブンをお探しの方におすすめです。
焼き物の町・信楽で生まれた陶磁器製のダッチオーブン。国内最高品質の耐熱陶器と特殊な釉薬で作られ、食材の旨味を凝縮した絶品料理を楽しむことができます。ガスコンロや電子レンジ・オーブンでの使用に対応し、煮る・焼く・炒める・無水調理などさまざまな調理が可能です。
東彼セラミックス セラミックス ダッチオーブン S
サイズ | 約φ19×14.6×8cm |
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重さ | 1.18kg |
素材 | 耐熱陶器(耐熱セラミックス) |
面倒なシーズニング不要ですぐ使用することができ、金たわしを使うことができるのでお手入れも簡単。直径約19cmのコンパクトサイズです。
合わせて用意したいアイテム
ここからは、ダッチオーブンと合わせて用意したいアイテムをご紹介します。以下のようなものがあればダッチオーブンの使い方の幅が広がり、より快適に使用することができますよ!
ケース
重くてかさばりやすいダッチオーブンは、収納して持ち運べるケースがあれば便利。専用ケースが付属している場合もありますが、なければぜひとも用意したいアイテムです。
車への積載が楽になり、ダッチオーブンを保護しながら持ち運ぶことができますよ!
上記でおすすめとして紹介したスノーピークの和鉄ダッチオーブン26専用収納ケース。綿帆布6号の丈夫な素材を使用しています。直径310mm×210mmサイズで10インチ前後のダッチオーブンを収納可能です。
スタンド
スタンドがあれば焚き火台やコンロがなくてもダッチオーブン料理を楽しむことが可能!
荷物もかさばらずに持ち運びでき、ソロキャンプで手軽に調理したいときやサブ調理台として便利に使用することができます。
キャプテンスタッグから発売されているダッチオーブンスタンド。芝の上で使う場合は対策が必須ですが、火床となるトレーに炭で火起こしすれば焚き火台のように使用できるほか、コンロのゴトクにしてダッチオーブンを置くことができます。
底網
底網があれば、ローストチキンやパン・ピザなど焦げ付きやすい料理も便利に調理することが可能。
料理の幅も広がり、より一層快適にダッチオーブン料理を楽しむことができますよ!
ユニフレームから発売されているUFダッチオーブンに対応した10インチ用底網。焦げ付きやすい料理の必需品であり、サビに強いステンレス製を採用しているのでお手入れが簡単です。
トライポッド
トライポッドがあれば、ダッチオーブンを吊るして調理することができるので便利です。
焚き火台の大きさを気にすることなく使用でき、吊るす高さを調整することで火加減の調整もすることができますよ!
コンパクトに持ち運ぶことができるロゴスのミニトライポッドワイド。重量440gとペットボトルより軽く携帯することができます。耐荷重20kgで10インチサイズのダッチオーブンを吊るすことができるほか、ランタンスタンドとしても便利に使用可能です。
ダッチオーブンのお手入れ方法
お気に入りのダッチオーブンを長く愛用するためには、使用前後のお手入れやメンテナンスが必要不可欠! ここからは、ダッチオーブンのお手入れ方法を解説していきます。
シーズニング
シーズニングとは、鉄製のダッチオーブンやスキレットを使用する前に必要な油ならし作業のこと。
サビやすい鋳鉄製のダッチオーブンは、サビ止めのワックスやオイルでコーティングされており、そのまま使用すると食材に臭いが付いてしまうため、一度きれいに洗い直して新たにサビを防ぐ油膜を作る必要があります。
シーズニングの具体的な流れは以下のとおりです。
1. ダッチオーブンに水を入れ、40度前後になるまで加熱する
ポイントとして、空炊きするときは「弱火」でじっくり加熱すること。いきなり強火で加熱すると焦げ付きの原因となります。
また、コーティングを洗い流すときは素材を傷つけないよう金たわしは使わずスポンジや亀の子たわしを使うようにしましょう。
このシーズニング作業を行うことでダッチオーブンにしっかり油膜を作ることができ、サビの発生を防止することができます。
洗い方
調理してダッチオーブンを使用したあとは、水洗いして汚れを落としましょう。このとき、鋳鉄製のダッチオーブンの場合は洗剤を使わないのが鉄則です。
せっかくシーズニングで作った油膜が落ちてしまい、サビの発生を招いてしまいます。
シーズニング処理を行ったダッチオーブンを洗う場合は、一度水で煮立たせて汚れを浮かしてから竹べらやキッチンペーパーなどを使って優しく洗い流すのがポイントです。
このとき、熱い状態で水を注ぎ込むと急激な温度変化でダッチオーブンが割れてしまう可能性があるため、必ず冷めてから水を注ぐようにしましょう。
ステンレス素材のダッチオーブンの場合は、一般的な調理鍋を洗うように食器用洗剤を付けて洗っても大丈夫です。
保管方法
ダッチオーブンを使用したあとは、前述の洗い方で汚れを落とし、空炊きして水分をしっかり飛ばしたあと、シーズニングの要領で薄くオイルを塗っておきます。
そのあと再度煙が出なくなるまで空炊きして、冷めたら新聞紙などに包んで風通しのよいところで保管するようにしましょう。
水を張ったままにしたり、作り置きをそのまま保存していたりすると、サビが発生してしまうので注意が必要です。
サビ取り
もしダッチオーブンがサビてしまったときは、少しであれば亀の子たわしを使って素材にダメージを与えない程度に磨いてサビを落としましょう。
サビの程度がひどい場合は、金タワシを使ってサビを落とさざるを得ないことも。なるべくダメージを与えないように注意しつつ、サビが取れたら水で洗い流して空炊きし、水分をしっかり飛ばして乾燥させましょう。
この時点で油膜がすべて落ちてしまっている状態になるので、再度シーズニング処理を行いサビ止め加工を施しておくことが大事です。
ダッチオーブンの人気レシピ
おすすめのダッチオーブンやお手入れ方法のあとは、人気レシピを4つ厳選してご紹介していきます。ぜひ挑戦してみてくださいね!
ローストビーフ
ローストビーフは大きな塊肉を使うダッチオーブンならではの料理です。フライパンではなかなかうまく焼けない塊肉も、ダッチオーブンなら中まで熱が通ってくれます。
無水カレー
ダッチオーブンは蓄熱性が高いので、食材の持つ水分を活用して作る無水料理にも最適! 水を入れないので食材本来の旨味を薄めることなく存分に味わうことができます。市販のルーを使ってもお店で食べるようなコクのあるカレーに仕上がりますよ。
パン
ダッチオーブンは名前の通りオーブンとしても使うことができます。ハードルが高いと思っていたパンも簡単。生地を練ったら中に入れて熱を入れていくだけで焼き立てパンを味わうことができます。
焼き芋
ダッチオーブンで焼き芋を作ると遠赤外線効果でほくほくに! 甘味がたっぷりと引き出された焼き芋を味わうことができます。
ダッチオーブンを使いこなそう!
焼く・煮る・炒める・蒸すなど万能な使い方ができるダッチオーブンは、焚き火調理のイメージが強いですが、ツーバーナーやコンロでも使用することができるのでバーベキューにもおすすめ! IHに対応した製品なら自宅でもダッチオーブン料理が楽しめます。
今回紹介した選び方やおすすめ商品、お手入れ方法、レシピなどを参考に、バーベキューや自宅でもダッチオーブンを使いこなしてみましょう!